福祉タクシーかごやブログ

看護師ドライバーによる福祉タクシー開業!身近な病気も解説

ガンで死ぬ という生き方

 

医療従事者として30数年働いてきました。5年前、約30年失明したまま生きていた父を見送りました。父の死後、認知症が悪化し10分前のことを覚えていない母を先般見送りました。常に死というものに身近であった私の一つの考えをお話しします。

 

昭和時代のガン治療は疼痛コントロールの概念が弱く、ひたすら病巣を切除していくといったものでした。当然、末期は痛みや苦しみが強くなります。肺がんになった方は私に「ずっと水の中で溺れているようだ」と訴え、苦しみぬいて亡くなられました。看護師として対応していても悲しくてやりきれない気持ちになり、いざ自分がそうなると思うと恐怖でした。

ところが最近はいわゆる緩和ケアが発達し医療用麻薬も飲み薬や貼り薬、直接脊髄に注入する等その人にあった疼痛コントロールができるようになりました。ホントにシンドイのは数日間であるように思えます。

事故で死ぬのは突然、なんの心構えも準備も家族への遺言もなく死んでしまいます。また長寿社会になったとはいえ、認知症を患ったり体の麻痺がきたりで最後の言葉も告げれずに病院・施設あるいは自宅で亡くなることも多いのが現実です。

ガンを宣告され、治療しても余命宣告を受けることがあります。けどそれからしばらくは身辺整理をしたり家族と話をしたり、あるいはやりたかったことしたりしてから最期を迎えることができます。一概に死に方を賛美するわけではありませんが、ガンで死ぬということは、人間的に案外幸せな最期かもしれません。

人生の後半戦、こんな思いで生きてみるのも悪くないかなって考えています